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小論文のツボ44  「小見出し」は文章の一里塚

投稿日:2013年12月29日 更新日:


●小見出しとは何か?

「小見出し」とは、今まさにあなたが読んだ、文章のまとまりの最初に置かれる小さなタイトルのことです。

「小見出し」は「中見出し」「大見出し」などとセットになって文章を階層構造にし、読者が長い文章を理解するのを助けます。

たとえば、ツボ3にでてきた以下の設問で小見出しをつけるとするとどのようになるでしょう?

当社の置かれた外部状況を概観し、当社の強みと弱みを抽出した上で、今後に向けた方策を提言しなさい。提言は、全社レベルとあなたが所属する部署レベルに分け、それを踏まえてあなた自身の今後の取り組みまで踏み込むこと

これは、このまま以下のように小見出し化することができます。

  1. 当社の置かれた外部状況
  2. 当社の強みと弱み
  3. 全社レベルでの方策
  4. 自部署レベルでの方策
  5. 自分自身の今後の取り組み

●1500字を超えたら小見出しを使おう

では、この「小見出し」、何字くらいから使うのが適当でしょう?

「小論文」の答案に関して言えば、経験上1500文字を越えたら小見出しを使った方がよいと思われます。

ことにビジネス系の文章や、法学・社会学・経済学系など、より「論理的な」文章が求められる学部の小論文の答案では、適切に小見出しを使うことで、採点官に自分が物事を構造的に捉えることのできる人間であることをアピールすることができるでしょう。

もちろん、今回のこのツボの文章のようにそれ以下の文字数でも使うことは可能です。

●小見出しだけで内容が分かるように

小見出しを使うときのポイントは、なるべくそれ以降に書かれていることが分かるようにすることです。

新聞や雑誌などの小見出しは、わざとセンセーショナルな書き方でそこから先を読ませようとしますが、小論文の小見出しは読者が答案の概要を容易につかむためのものです。あまり奇をてらわず、内容を端的にまとめた分かりやすいものにしましょう。

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【小見出しを使った例文】

1,当社の置かれた外部状況
自動車部品を国内自動車メーカーに供給する当社は、現在、経済のグローバル化の波にもまれ、苦戦を強いられている。
少子高齢化や若者の車離れなどによる国内市場の縮小などにより、グローバル市場に活路を見出さなければならないにもかかわらず、中国・印度を中心とした新興国の台頭や、通貨危機に端を発した極端な円高など、今までにない逆風のなか、生き残り策を模索しているのが現状だ。

2,当社の強みと弱み
そのような状況下における当社の強みは、高い技術力である。また、弱みは経済のグローバル化に対応できる人材が不足していることである。
まず強みとして、当社は国内生産分の○○という部品のシェア60%を確保している。これは当社の高い技術力が顧客に指示されている結果と言えよう。また特許数も250を越え、これら知財の活用は、今後の当社の行く末を大きく左右する。
しかし、その一方で、弱みとして、海外生産拠点を持たず、スタッフに英語をはじめ外国語を使ったコミュニケーションができる人材がいないことが挙げられる。当社はグローバル化の流れからは大きく遅れているのだ。

3,全社レベルでの方策
今後は、全社レベルで高い技術力を維持したままで、グローバル経済に対応する仕組み作りを推し進めなければならない。具体的には、系列企業の外国支社と連携し、人材の交流を図りつつ数年後の工場の海外進出を図るべきである。
当社の親会社であるH社は、海外生産拠点をもつ系列企業を数多く所有している。それらの企業と人材交流を行うことで海外進出のノウハウを獲得するのである。

4,自部署レベルでの方策
私が所属する開発部は、まさに当社の高度な技術継承が行われている部署である。今後は、グローバル展開に向けて、外国人技術者の受け容れ体制を整えていくべきである。
具体的には全部員対象にTOEIC研修の受講を義務化してコミュニケーション能力の向上に努めるとともに、現在、口頭でなされている指示を業務マニュアルして共有できるようにし、機械操作など各種指示書を多言語化するべきである。

5,自分自身の今後の取り組み
そして私自身は、自らの語学力向上を図りつつ、技術継承の要となる業務マニュアルの整備をすすめるつもりである。
語学力の向上のためには、まず通勤時にリスニング訓練を行い、口頭でのコミュニケーションに備えるとともに、系列会社の海外拠点の見学や海外研修などにの積極的に参加し、実践的なコミュニケーション能力を高めるつもりである。
また、業務マニュアルの作成のためには、日頃の業務手順の洗い出しと、いわゆる「職人技」と言われる技術を、計測や実験によって数値化・言語化するつもりである。そしてそれにより当社のグローバル化を実現し、会社の発展に寄与する所存である。

【さらに細かく小見出しを使う例】(3000文字を想定。小見出しのみ)

1,当社のおかれた外部状況の概観(600字)
1-1:国内市場の縮小
1-2:新興国の台頭
1-3:急激な円高

2,当社の強みと弱み(900字)

2-1:当社の強みは「高い技術力」
2-1-1:○○部品国内生産シェア60%
2-1-2:250を超える特許数
2-2:当社の弱みは「グローバル化に対応できる人材の不足」
2-2-1:海外拠点を持たないことによる「ガラパゴス化」
2-2-2:語学力をはじめとするコミュニケーション能力不足

3,全社レベルの今後に向けた提言(600字)
3-1:系列企業との連携による海外進出
3-1-1:系列企業の海外工場への視察・研修
3-1-2:系列企業の海外工場からの技術者の受け容れ
3-1-3:系列企業との資本提携による海外工場の設立

4,所属する部署レベルの今後に向けた提言(600字)
4-1:まずは外国人技術者を受け容れる体制作りを
4-1-1:部員全員を対象にTOEIC研修を義務化
4-1-2:業務マニュアルの整備
4-1-3:マニュアルを始めすべての指示書の多言語化

5,自分自身の今後の取り組み(500字)
5-1:語学力の向上
5-2:海外工場視察・研修への積極参加
5-3:業務マニュアルの整備
5-3-1:業務手順の棚卸し
5-3-2:「職人技」の標準化

6,まとめ(100字)


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