「分かりやすい文章のための7ヵ条」第7条は、
他者の文章は正確に引用する。要約はなるべくしない。
です。
けじめをつけ、適切な距離感を保つ必要があるのは、人間関係も文章も一緒です。
自分の言葉と他人の言葉は、引用をつかって適切に区別しましょう。
例を挙げます。
<悪い例>
この現状に対して筆者は、ゆとり教育の目的は思考力の養成に有り、正解のない問題に対する態度を養うものだと述べる。また、旧来の詰め込み教育は与えられた問題だけを解くだけになりがちで、それだけではこれからの世の中を生きていけないだろう。しかし、実際のゆとり教育はそうなっていなかったと思われる。
この文章は最初は筆者の主張を伝えているのですが、それがいつの間にか自分の主張になっています。自他の境界線が曖昧です。
こうならないためにも、他人の言葉はきちんと「 」でくくり、引用をしましょう。
<書き直し例>
筆者は述べる。「詰め込み型教育の限界は与えられた問題、正解のある問題にしか対応できない点にある。ゆとり教育は本来、この点の解決を目指したものであった」
たしかにその通りである。これからの世の中は、与えられた問題に正解を出すだけでは生きていけない。そして、当初の目的が達成できれば、ゆとり教育も評価されたはずである。
その意味で「要約」というのは、じつは危険な行為です。なぜならいつのまにか他者の主張をねじ曲げてしまう危険性があるからです。
たとえば、上記の引用部分をこのように「要約」したらどうでしょう?
<悪い要約>
筆者は、詰め込み教育の問題点を是正することがゆとり教育の目的であったという。
この要約だと、筆者が本来言いたかったことより抽象的で「大雑把」な主張をしたことになってしまいます。
こうならないためにも他人の言葉を紹介したいときは、できるだけ引用をしてください。
どうしても要約をしなければならないときは、「~という"趣旨"を筆者は述べる」と書きましょう。
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