分かりやすい文章を書こうとしたら、「これ」「それ」「あれ」「どれ」、いわゆる「こそあど言葉」の使用に細心の注意を払いましょう。
これらのことば(=「こそあど言葉」)は、いわば、記号「X」のようなもので、使うときは、それ(=「こそあど言葉」)が何を指すのかをきちんと考えながら使わなくてはならないのです。
悪い例を挙げます。
そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。(日本国憲法前文)
日本国憲法にはすばらしい内容が含まれているにもかかわらず、文体的には残念な面が多く、この前文もその例(=文体的に残念な面が多いという例)に漏れません。
これ(=日本国憲法前文)は以下のように頭の中で補って読む必要があります。
そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、
その(=国政の)権威は国民に由来し、
その(=国政の)権力は国民の代表者が
これ(=国政の権力)を行使し、
その(=国政の)福利は国民が
これ(=国政の福利)を享受する。
これ(=前の一文の内容すべて)は人類普遍の原理であり、
この憲法は、かかる原理(=人類普遍の原理)に基くものである。
われらは、これ(=人類普遍の原理)に反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。
このように、ここまで(=すべての「こそあど言葉」が何を示しているのかをイコールで結んで解説するまで)指し示す対象を明記すると、はっきりいって「うざい」のですが、「こそあど言葉」を使うときは、頭の中ではこのくらい(=すべての「こそあど言葉」が何を示しているのかをイコールで結んで確認するくらい)、それ(=「こそあど言葉」)が何を意味するのかを考えながら、使いましょう。
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