思考を広げ、自分の意見を作るための「360度思考法」。
最後は、「昔は?」「このまま行くと?」と自らに問いかけ、与えられた事実や意見を「前・後」にずらしてみましょう。
「前・後」とは、「過去と未来」です。
まず、与えられた事実や意見に「昔はどうだったか?」と問いかけることで過去にずらしてみます。
たとえば、次のようにです。
「最近の新入社員は、自分の権利ばかりを主張し、言われたことしかしない」
→「では、昔はどうだったか?」
→「昔も、基本的に新入社員は自分の権利ばかりを主張し、言われたことしかしない存在であった。しかし、現在と異なるのは、昔の会社には、そのような新入社員を一人前のビジネスパーソンに仕立て上げるまでの時間と金銭的な余裕があったことである」
このように過去にずらしてみることで、今と昔の違いが明確になりました。
次に、与えられた事実や意見が「このまま行くとどうなる?」と問いかけることで、それらの未来を考えます。たとえば、以下のようにです。
「最近の新入社員は、自分の権利ばかりを主張し、言われたことしかしない」
→「では、このままいくとどうなるか?」
→「このままいけば、生産性の低下、社内コミュニケーションの機能不全などの症状が現れることが予想される」
→「そうならないためにも早急に、新入社員の研修制度を見直すべきである」
今度は未来を見通すことで、現在の課題が浮き彫りになっています。
このように360度思考法を使えば、何も思い浮かばない、自分の意見が見えないということはほとんどなくなります。
繰り返しますが、「思考」は技術です。
最初は意識的に、そして慣れれば自動的に考えられるようになります。
まずは自分が最も得意な方向へ与えられた事実や意見をずらしていき、思考と可能性の幅を広く保とうとしましょう。その上で自分の意見を探し出していくのです。
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小論文の書き方のコツをすべて伝授! 小論文のツボ60 - 作文と小論文の違いから日頃の訓練法まで- 石井秀明 論文オンライン 2014-01-01 |
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