本日は、高校3年生の「まるもり」さんからいただいたお悩みにお応えします。
Q.小論文を長く書くコツを教えて下さい!!
1000字書かないといけない小論文が400字しか書けません。
課題文が与えられてそれについて自分の考えを書く方式なんですが、どうすれば不足分の600字を埋めれますか??
(まるもり・高校3年生)
A.小論文を長く書く方法は以下の4つです!
はい、お任せください。しっかり400字の論文を1000字にする方法をお教えしますね。
●文章を長くする=筋トレ!?
まず、確認したいことは文章には「骨の文(トピックセンテンス)」と「肉の文(サポートセンテンス)」があるということ。
そして、文章を長くしようとするとき、一番やってはいけないことは、
「骨の文」をむやみに増やそうとすることです。
「骨の文」つまりトピックセンテンスによる論文の基本構造。これをむやみにいじってはいけないのです。
「骨の文」を増やそうとすると、主張が「ぶれて」論文の構造が崩れることが多くなります。
では、どうやって文章を長くするか。
それは「肉の文(サポートセンテンス)」を増量するのです。
それもただ「ぜい肉」を付けるのではありません。「骨の文」をより効果的に伝えるための「筋肉」を付けるのです。
ではここから先は実例をお見せしましょう。
以下の400字の「骨だけ400文字バージョン」の小論文を筋肉のようにバルクアップ(増量)させてみます。
筆者は、人間は未来に対する不安から疑似科学に嵌まるのだという。
その通りである。疑似科学は、人間の心の弱さにつけ込むのだ。そして、疑似科学につけこむ隙を与えないようにするのが「科学的思考」である。
なぜなら「科学的思考」とは、ものごとを客観的にとらえ、論理的に考えようとする思考法だからである。ものごとを客観的にとらえ、論理的に考えようとすれば、疑似科学が主張する「明るい未来」や「幸福」がニセモノであると、気づくことができるのだ。
では、どうすれば我々は、「科学的思考」を身につけることができるのか。
筆者のいうとおり、「何事も疑い確かめるという科学者の姿勢」を幼い頃から教育するべきである。
そうすることで子どもたちは「科学的思考」を身につけることができ、疑似科学の害悪から身を守ることができるであろう。
●これが文章を長くする3+1つの方法
さあ、この400文字の「骨だけ」の小論文にどうやって「肉」を付けて1000文字にするか?
まずは以下の3つの方法を使って1000文字まで増量してみましょう。
1,「引用」を活用する
最初の方法は、資料文の「引用」を活用する方法です。
これは資料文付きの課題の時にしか使えない方法ですが、使うと論旨が明確になり、なおかつ字数を稼ぐことができます。
筆者は、人間は未来に対する不安から疑似科学に嵌まるのだという。(31文字)
筆者は、「人間は(中略) 無理であると思いながらも、 未来がどうなるか、 自分の不幸はどうすれば取り除けるか、 それを知りたいと願うのだ。 そのような心のゆらぎから疑似科学に嵌まる人が多い。」という。(100字 +69文字)
その他、引用は小論文の途中でも適宜使いましょう。そうすることで、資料文をしっかり踏まえていることが読者に伝わり、なおかつ字数も稼ぐことができます。
2,具体例を挙げる
つぎは、字数を増やすときの最高・最強の方法である「具体例を挙げる」です。
具体例は、主に主張を裏付ける「根拠」に使うと効果的に説得力を高め、なおかつ字数も稼ぐことができます。さらに制限字数によって伸縮自在。
字数コントロールをするなら、まずはこの方法を身につけましょう。
【増量前】
なぜなら「科学的思考」とは、ものごとを客観的にとらえ、論理的に考えようとする思考法だからである。ものごとを客観的にとらえ、論理的に考えようとすれば、疑似科学が主張する「明るい未来」や「幸福」ががニセモノであると、気づくことができるのだ。(118文字)
【増量後】
なぜなら「科学的思考」とは、ものごとを客観的にとらえ、論理的に考えようとする思考法だからである。
疑似科学には、どうしても論理的な矛盾や、客観的な事実との食い違いがある。たとえば、最近健康に良いとされ、各種サプリメントまで発売されている「水素水」には、なんら実験の裏付けがないことが調べれば簡単に分かる。なかには「粉末水素」なる商品もあり、これは水素が常温化で固体となるという化学的にはあり得ない商品である。
つまり、ものごとを客観的にとらえ、論理的に考えようとすれば、疑似科学が主張する「明るい未来」や「幸福」がニセモノであると、気づくことができるのだ。(278文字 +160文字)
3,ナンバリングを使って細分化する
「ナンバリング」をつかって言いたいことを細分化して記述することも、字数を稼ぐよい方法です。
一つの段落、一つの文章でそのまま分量を増やそうとするのは無理があります。
ところがナンバリングを使って細分化し、その一つ一つを詳しく書こうとすることは、それほど難しくないのです。
また、ナンバリングを使うと、読者には読み進めるための「ガイド」が与えられるため、読みやすく、頭に入りやすくなります。
それではさっそく例を見てみましょう。
【増量前】
筆者のいうとおり、「何事も疑い確かめるという科学者の姿勢」を幼い頃から教育するべきである。
そうすることで子どもたちは「科学的思考」を身につけることができ、疑似科学の害悪から身を守ることができるであろう。(102文字)
【増量後】
筆者のいうとおり、「何事も疑い確かめるという科学者の姿勢」を幼い頃から教育するべきである。その教育の場は大きく二つある。
一つめは家庭である。家庭では、親は子どもの「なぜ?」になるべく論理的、客観的に応えるようにする。たとえば、幼い子どもが「なぜ空は青いの?」と尋ねてきたならば、子どもの自由な発想も尊重しつつ、図鑑やインターネット上の動画も参考にしながら、なるべく分かりやすい言葉で科学的な説明を試みるべきだ。
二つめは学校である。学校では、どの授業においても、「疑い確かめる」ことに重点を置いて、つねに「科学的思考」を行うよう生徒を指導するべきである。たとえば、国語や社会の時間であっても記述をそのまま信じるのではなく、「本当にそうか」「別な考え方はないか」をつねに生徒に問う。また意見を述べるときは必ず根拠も挙げるよう指導し、物事を「疑い確かめる」態度を養うべきだ。
そうすることで子どもたちは「科学的思考」を身につけることができ、「疑似科学の本当の害悪」から身を守ることができるであろう。(448文字 +346文字)
科学的思考を身につけるべき場所を「家庭」と「学校」の二つに分け、それぞれに「たとえば・・・」という形で具体例を挙げることで、大幅な字数アップを図っています。
さあ、いかがだったでしょう。
上記、1~3の方法を使うことで+575文字の増量に成功しました。
この記事の最後に、増量後の1000文字バージョンを挙げておきますので、ぜひお読みください。
最後に、作文型小論文など自らの経験談を増量させるための方法を挙げておきましょう。
4,経験談は五感を使って詳しく説明する
作文型小論文でも前述の3つの方法を活用することはできるのですが、それに加えてこの方法を意識すると記述を増量できます。
それが、「五感を使って詳しく説明する」という方法です。
論より証拠。例を見てみましょう。青文字部分と赤字部分を比較してみてください。
【増量前】
私が救急隊員を目指したきっかけは、高校1年の時に脳梗塞で倒れた父を救急搬送してくれた隊員の姿を見たことだ。
朝食を食べている時に、突然不調を訴えた父は、そのまま救急搬送された。後にそれはわずか10分であったことを聞いて驚いたのだが、電話をかけてから救急車が到着するまでが永遠のように感じられたのを覚えている。(155文字)
【増量後】
私が救急隊員を目指したきっかけは、高校1年の時に脳梗塞で倒れた父を救急搬送してくれた隊員の姿を見たことだ。
11月のだいぶ冷え込んだ朝のことである。朝食を食べていた父は、突然「頭が痛い」と言いだしてソファに倒れ込んだ。だんだんろれつが回らなくなってきて、視点も定まらない。ただ事ではないと判断した母が、急いで119番通報した。
私は何もできず、おろおろするだけであった。後にそれはわずか10分であったことを聞いて驚いたのだが、電話をかけてから救急車が到着するまでの時間が永遠のように長く感じられ、ただ救急車が早く来てくれることだけを祈っていたのを覚えている。
(280文字(+125文字))
五感を意識して、どんなものが見えたか、聞こえたか、温度や触った感じはどうだったか、においや味はどんなだったか、を想い出して書きましょう。
そうすることであたかもその場所にいたかのような臨場感のある文章になります。
さあ、いかがだったでしょう?
長く書くことがそれほど難しいことではないと分かっていただけたでしょうか?
まるもりさん、これらのテクニックを使って、ぜひ自由自在に字数を調整できるようになってくださいね。
【増量後 1000文字バージョン】
筆者は、「人間は(中略) 無理であると思いながらも、 未来がどうなるか、 自分の不幸はどうすれば取り除けるか、 それを知りたいと願うのだ。 そのような心のゆらぎから疑似科学に嵌まる人が多い。」という。その通りである。疑似科学は、このような人間の心の弱さにつけ込むのだ。そして、疑似科学につけこむ隙を与えないようにするのが「科学的思考」である。
なぜなら「科学的思考」とは、ものごとを客観的にとらえ、論理的に考えようとする思考法だからである。
疑似科学には、どうしても論理的な矛盾や、客観的な事実との食い違いがある。たとえば、最近健康に良いとされ、各種サプリメントまで発売されている「水素水」には、なんら実験の裏付けがないことが調べれば簡単に分かる。なかには「粉末水素」なる商品もあり、これは水素が常温化で固体となるという化学的にはあり得ない商品である。つまり、ものごとを客観的にとらえ、論理的に考えようとすれば、疑似科学が主張する「明るい未来」や「幸福」がニセモノであると、気づくことができるのだ。
では、どうすれば我々は、「科学的思考」を身につけることができるのか。
筆者のいうとおり、「何事も疑い確かめるという科学者の姿勢」を幼い頃から教育するべきである。その教育の場は大きく二つある。
一つめは家庭である。家庭では、親は子どもの「なぜ?」になるべく論理的、客観的に応えるようにする。たとえば、幼い子どもが「なぜ空は青いの?」と尋ねてきたならば、子どもの自由な発想も尊重しつつ、図鑑やインターネット上の動画も参考にしながら、なるべく分かりやすい言葉で科学的な説明を試みるべきだ。
二つめは学校である。学校では、どの授業においても、「疑い確かめる」ことに重点を置いて、つねに「科学的思考」を行うよう生徒を指導するべきである。たとえば、国語や社会の時間であっても記述をそのまま信じるのではなく、「本当にそうか」「別な考え方はないか」をつねに生徒に問う。また意見を述べるときは必ず根拠も挙げるよう指導し、物事を「疑い確かめる」態度を養うべきだ。
そうすることで子どもたちは「科学的思考」を身につけることができ、「疑似科学の本当の害悪」から身を守ることができるであろう。
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