「作文」も「論文」も自己表現の一種。「私」を直接的に書くのか、間接的に書くのかが一番の違い。
作文と論文はどのように違うのか? この問題は、いままでいろいろな本で、いろいろに言われてきました。しかし、大事なことを忘れてはいけません。それは、作文も論文も自己表現の一種であるということです。
「自己表現」などといわれると、何やら頭の中が「???」となってしまいそうですが、つまり、作文も論文も自分の経験や考えを他人に伝えるために書くのだということです。その意味で作文も論文も「私」のことを書くものだと言うことができます。
ズバリ 作文と小論文の違いはココ!
でも、あなたもお気づきのように「作文」と「論文」には明らかな違いがあります。その違いはどこから来るのでしょうか。それは、同じ「自分」に関する表現でも、その表現方法が違うことからくるのです。
ここではひとまず、「作文」と「論文」を、以下のように定義しています。
- 作文…「自分」のことを直接書く文章
- 論文…「自分」のことを直接書かない文章
以下、くわしく説明します。
作文…「自分」のことを直接書く文章
作文とは、簡単にいってしまえば、自分の経験を中心に、感じたことや考えたことを書く文章です。もう少しきちんと定義すると以下のようになります。
作文のくわしい定義:
「自分自身の《経験》に基づき、その《経験》に対する《分析》や《感想》を述べる文章」
ある経験を通して考えたこと、感じたことを述べることによって、自分を知ってもらうための文章。つまり、どのような形にせよ、「作文」はあなたという人がどんな人なのかを語る文章なのです。
それでは以下に、試験という観点から見た「作文」の特徴を挙げましょう。
- 自分の経験を中心に構成される
- 人柄や感性を評価するのに適している。
- 論理的整合性より話の内容の方が重視される。
- ある程度の文学的表現も許される。
- ある程度の主観的判断も許される
論文…「自分」のことを直接書かない文章
論文とは、簡単にいってしまえば、ある意見に対して自分の判断を下し、その判断がなぜ正しいのかを根拠を挙げて述べる文章です。もう少しきちんと定義すると以下のようになります。
論文のくわしい定義:
「与えられている事実・意見の《引用》に基づき、その事実・意見に対する自分の《判断》の正当性を《根拠》を挙げて主張する文章」
「論文」は客観的である必要があります。そのためには「自分」が前面に出る主観的な文章(~が好き、~が嫌い、~を信じる等)は書くべきではありません。
また論文は一定の手続きに従って書く必要があります(それが《引用》《判断》《根拠》です。後ほど説明します)。この手続き自体には個性は反映されません。しかし、どのような内容の《引用》《判断》《根拠》を行うかには、その人の個性が反映されます。つまり、同じ手続きにどのような内容を盛り込むかによって、間接的に「自分」を表現するのが「論文」といえるのです。
それでは以下に、試験という観点から見た「論文」の特徴を挙げましょう。
- 社会的事象を中心に構成される
- 論理的思考力や知識量などを評価するのに適している
- 話の内容よりも論理的思考力・表現力が重視される
- 文学的表現は嫌われる
- 客観的判断が最優先、根拠を持たない主観的判断は許されない。
さあ、これで「作文」と「論文」の違いがわかりましたね。それでは、「小論文」とはどんな文章なのでしょうか?