第3講 必ず受かる答案作成法!」カテゴリーアーカイブ

3-1:設問をキッチリ分析し、試験官の要求を把握しよう

まずは、設問をしっかり分析。書くべき論文の型と、「プロット」づくりの方針が決まらなければ話にならない!まず、あなたが求められているのはなにかを考えよう。

実際の小論文の答案作成で、あなたがしなければならないことは、以下の四つです。

  1. 設問の分析
  2. プロット(=あらすじ・構成)の作成
  3. 執筆
  4. 推敲

そして、この四つのステップの最初の部分であなたが行わなければならないことが(1)の「設問の分析」です。

小論文の問題を前にしたら、まず最初に、設問をじっくり分析しましょう。そして、試験官が自分に何をもとめているのかをしっかりと把握するのです。

最初に確認しなければならないのは以下の2点です。

  1. 書くべき小論文の型は何か?
  2. 基本の型にはめて書くべきか、設問の指示に従ってプロットを作成するべきか?

まず、自分がこれから書こうとしている課題が、小論文の型のどれに当てはまるかを確認します。

おそらくあなたの問題は、内容上の分類としては「作文型」「論文型」「随筆型」「創作型」などに、形式上の分類としては、「テーマ型」「資料読みとり型」「三題噺型」などにわかれるでしょう。

書くべき「型」を確認したら、それぞれの型に関する注意事項を思い出しましょう。たとえば、「作文型小論文」なら「過去の自分」と「未来の自分」、「テーマ型」の論文型小論文なら「社会的文脈」の「引用」と「判断」「根拠」といった具合です。(その他の小論文の型を忘れた人は【形式から見た小論文の「型」】をもう一度参照しましょう)

その上で、設問が特定のプロットを要求しているかを見極めます。

テーマだけが与えられているものや、「○○について思ったことを自由に述べよ」といった単純な設問が与えられたなら、基本の型に当てはまめてプロットを作ればよいでしょう。

しかし、「二つの方法のメリット、デメリット双方を挙げ、あなただったらどちらの方法を採るのかを、根拠を挙げて説明しなさい」というような細かい指示のある設問の場合は、設問の要求するようにプロットを作らなければなりません。

以上の二点を確認した上で、具体的なプロットづくりに入ります。

しかし、そのまえに考えておくべきことがあります。それは「時間配分」です。

時間配分を考えよう

時間配分を考えるとき、まず知っておかなければならないことは、自分が原稿用紙を制限字数分埋めるのに必要な時間です。そしてそれをもとに、その他の時間配分を考えます。

日頃の訓練で、自分が制限字数を埋めるのにどれくらい時間がかかるかを計測してみましょう。

こうして得られた時間を制限時間から差し引きます。あなたはこの残り時間を、(1)設問の分析、(2)プロットの作成、(4)推敲、の3つに配分しなければなりません。

この中でなるべく多く時間を取るべきなのは、(2)プロットの作成、です。なぜならプロットをきちっと作っておけば、実際に論文を書き出してから、途中で詰まったり、推敲の際に大幅に修正が必要になったりしないからです。

ですから、制限時間をなるべく(2)に回せるような時間配分を日々の練習でつかんでおきましょう。

では次は、いよいよプロットの作成です。


3-2:小論文の設計図であるプロットを作成しよう

プロット(あらすじ・構成)は小論文の命。設問の要求に従い、きっちりとプロットを作成しよう!

設問が要求する型どおりにプロットを立てよう

つぎはいよいよ「プロット」の作成です。

「プロット」というのは、「あらすじ」あるいは「構成」という意味です。小説などで言えば、登場人物の設定や事件の流れなどを書いたもの、論文で言えば、章立てや段落構成の計画書を意味します。

そしてプロットの作成で気をつけるべきポイントは以下の三つです。

  1. 段落数
  2. 字数配分
  3. トピックセンテンス

型どおりに小論文を書けばよい人は、基本の型どおりにプロットを作成すれば問題ありません。段落数、文字配分もおのずから決まるでしょう。

しかし、設問が独自のプロットを要求している場合は、注意が必要です。

たとえば、以下の設問を見てみましょう。


(資料文を読んで)
問 現在、様々な地球環境の変化が問題となっています。あなたはその中で特にどのようなことに関心を持っているか記述しなさい。あなたがその環境変化を調べるためのモニタリング(広範囲で長期間にわたって行う調査)を実施するチームのリーダーになるとしたら、どのような目的でモニタリングをしますか。調査対象、調査地など実施方法を添えて、あわせて600字以内で記述しなさい。
(秋田大学 00年度 後期 人間環境 資料読みとり型小論文 ※カッコ内は石井)


この設問で出題者が要求していることは、

  1. 環境の変化に関する問題の中で、自分がどのようなことに興味を持っているかを述べること
  2. モニタリングの目的を書くこと
  3. 調査対象、調査地など実施方法を述べること。
  4. すべてを600字以内で述べること

の四つです。あなたはこの四つの要求をすべて満たす形で答案を作成しなければなりません。すると、この設問から考えられる段落構成と字数の割り振りは、必然的に以下のようになります。



第1段落: 自分が興味を持っている環境の変化を述べる。
(50字~100字)
第2段落: なぜ自分がその問題に興味を持っているかの理由
(100字)
第3段落: その問題を調査するためにどのようなモニタリングを行うべきか
(50字~100字)
第4段落: モニタリングの目的
(100字)
第5~
最終段落: モニタリングの具体的な方法。
(200字~300字)


 このように、設問にきちんと答えようとすると、自然に段落数と字数の割り振りが決まってくることが非常に多いのです。ですから設問をしっかり読み、そして設問が要求している論文の構成はどのようなものなのかよく考えましょう。

そうして、段落数と字数の割り振りが決まったら、今度は、各段落で何をいうかを、簡潔に書き込みます。そしてその文がそのままその段落のトピックセンテンス(その段落の核となる文)になるのです。

以下に、上記の段落構成にトピックセンテンスを加えたものを挙げます。ここまで書けてプロットは完成です。


第1段落:自分が興味を持っている環境の変化(50字~100字)
〈トピックセンテンス〉
環境の変化に関する問題で、私が一番興味を持っているのは酸性雨の問題である。
第2段落:なぜ自分がその問題に興味を持っているかの理由(100字)
〈トピックセンテンス〉
なぜなら、酸性雨は二酸化炭素を吸収する森林を減らしてしまうからだ。

また、酸性雨の問題は一国だけの対応では問題の解決に結びつかないからだ。

第3段落:その問題を調査するためにどのようなモニタリングを行うべきか(50字~100字)
〈トピックセンテンス〉
酸性雨の実態を調査するために現在のアメダス装置に成分分析の機能を付け、雨が降るごとにその中に含まれる物質とph値を調べる。
第4段落:モニタリングの目的(100字)
〈トピックセンテンス〉
全国的、かつ長期間にわたる酸性雨の実態を調べ、酸性雨の予報や防止対策に必要な情報を得る。
第5~最終段落:モニタリングの具体的な方法。(200字~300字)
〈トピックセンテンス〉
全国にあるアメダス装置に成分分析の装置を取り付ける。

同種の装置を世界中に設置し、酸性雨の発生状況を世界規模で把握する。

→実施に伴う問題点と対策も書く。


どうでしょう。プロットの作成方法がおわかりいただけたでしょうか。


3-3:小論文の執筆時に気をつけること

プロットが完成したらいよいよ執筆。下書きは書いちゃダメ!プロットに忠実にじっくり丁寧に書こう!

ぜったいにプロットを変更しないこと!

プロットが決まれば、あとは実際に執筆します。プロットにしたがって、執筆していきましょう。 このとき注意すべきなのは、「ぜったいにプロットを変更しないこと」です。執筆がうまくいかないと、ついついプロットを変更したくなります。あるいは、執筆中に別なアイディアが浮かんできて、そちらのほうが良いように思われてくることもよくあることです。 しかし、それらの誘惑は退けて、最初のプロットをしっかり守って書くようにしましょう。

下書きはするな!

参考書によっては、「下書きを書け」と指導している本もあります。しかし、これはお勧めできません。「下書きはしてはいけない」のです。

なぜなら、下書きを書いてから清書をしようとすることは、一回でいいはずの答案作成を、二回しようとすることだからです。ふつうの制限時間では、制限字数二回分の原稿用紙を埋めるのには短すぎます。

また仮に、二回原稿用紙が埋められたとしても、プロット作成にかけられる時間は大幅にカットされてしまいます。しっかりとしたプロットなしでは、いくら下書きをしても、提出用の論文の質が良くなるわけではありません。できぞこないの論文が二つできるだけです。そんな時間があるのなら、しっかりとしたプロットを立てるほうに時間をかけましょう。

下書きはしてはいけません。そんな時間があるのなら、プロット作成に時間をかけましょう。

美しくなくてもよいから、とにかく丁寧に

小論文の答案における字は、面接における服装や身なりとおなじです。乱暴な字や小さすぎる字はそれだけで、大きなマイナス点です。

美しい字を書こうとする必要はありません「丁寧にはっきりと読みやすい字で書く」ことを肝に銘じておいてください。


3-4:他人の目で冷静に推敲しよう

小論文を書き上げたら、かならず推敲しよう!他人の目になって冷静に。ただし、変更は最小限に。

もう一人の自分の登場

小論文の答案を書き上げたら、最後にあなたがするべきことは、推敲です。この段階では、誤字脱字、不適切な表現などを最小限修正します。

そして、推敲するときは、あたかも他人の文章を読むような気持ちで、自分の文章をつき放して読むようにしましょう。もう一人の自分が冷静に答案をチェックするのです。そうすることで、自分の答案の問題点が見えてきます。

修正は最小限に。ふたたびぜったいにプロットを変更しないこと!

推敲の際、まず、覚えておかなければならないことは、「修正は最小限にする」ということです。

だれでも、修正だらけの汚い原稿は読みたくありません。誤字、脱字等、明らかな間違いは消しゴムで丁寧に消して訂正し、あまり長い文章の修正は行わないでください。

まして、推敲段階にいたって、プロットを変えるなどの大きな変更はぜったい禁止です。

追いつめられた状況下では、新しく思いついたプロットのほうがよく見えてしまうものです。しかし、後で冷静に見直すと最初のプロットと大した差がないことが多いのです。ですから書き直したくなってもグッとこらえて、細かいミスだけをつぶすつもりで推敲を行ってください。

それでは以下に、推敲のときここだけは確認して欲しいチェックポイントを挙げます。推敲のとき、参考にしてください。

ここだけはかならずチェック!推敲の絶対確認ポイント

  • 推敲のポイント 起こしやすいミス
  • 誤字・脱字はないか 単純な誤字・脱字がある
  • 表現におかしなものはないか 主述がねじれている
  • カッコを閉じ忘れている
  • 副詞が呼応していない
  • 読点が多すぎる/少なすぎる
  • 文体が統一されていない
  • 表記上の誤りがある
  • 用字用語の表記が統一されていない
  • 字数制限を守っているか 最低字数を下回っている/最高字数を超えている
  • 原稿用紙の使い方は間違っていないか 【原稿用紙の使い方】を守っていない

さて、以上で実戦的な小論文の書き方の説明は終わりです。