もやもや表現の添削屋、石井秀明のブログです。

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小論文や論理的思考で知識よりも先に頭に入れなければならないもの

投稿日:2014年6月7日 更新日:

(この記事は約2300文字。読むのに3~6分ほどかかります)

なんでもいいから知識が欲しい!

これは「小論文お悩み相談室」で取り上げるべき問題なのかな? と悩んだのですが、ことはそういう小さな問題ではないな、と思ったのでこのカテゴリーで論じておきます。

その受講生からの質問を許可をもらって再掲しますと・・・・

Q.効率よく、いろいろな知識を覚える方法ってありますか? 小論文を書くのに知識がまったく無くって困ってます。覚えるのが下手なのです。なんでもいいのでたくさん知識を増やしたいです。とりあえず今は毎朝新聞を隅から隅まで読んでます

「なんでもいい」っておいおい、と思いましたが(笑)、でも知識欲があるのは結構。

しかしですね。

これを読んで私は、「あ、ちょっとやばいな」と思いました。で、次のような長めの返事を書きました。

知識を詰め込む前に知るべきこと

○○様:

お世話になります。論文オンラインの石井です。

ご質問ありがとうございました。

知識を増やそうと思って頑張っているとのこと。

それ自体はとても良いことだと思います。

ただ、「知識がまったく無くって困ってます」という段階であれば、まだ「知識」を詰め込もうとするのは早いかもしれません。

○○さんが最初に頭に入れるべきもの。それは、

「観」

です。

「観」というのは、簡単に言うと「あるテーマに関するものの見方」のことです。

「人生観」「恋愛観」「仕事観」「言語観」「労働観」・・・

世の中にはいろいろな「観」があります。

そして、ある一定の「観」を持っていないと、その領域における個別の「知識」(というか情報)は正しく理解できないのです。

たとえば、今日の新聞にこのような記事がありました。

シリア内戦終結見えず アサド氏3選
シリア大統領選で三選を決めたアサド現大統領(48)は四日、インターネット上で「前線でテロリスト(反体制派)と戦う兵士たちはすべての銃弾を必要としている。(実弾を使う)祝砲で祝うわけにはいかない」と述べ、反体制派との対決姿勢を強調した。
(中略 石井)
 反体制派を支援する米国のケリー国務長官は四日、大統領選を「無意味」と酷評。選挙結果を認めない考えを示した。一方、ロシアは選挙結果を容認する姿勢。米ロの対立が鮮明になっている。(東京新聞Web版2014年6月6日)

この記事を理解するためには、さまざまな背景知識を知らなければなりません。

シリアで内戦状態が続いていること、から始め、アサド氏とは何者なのか? なにが内戦の原因なのか? 米国とロシアとシリアの関係は? など、ほんの短い記事を理解するために、かなりの分量の「背景知識」を持たなければならないのです。

事実に関する知識+因果関係の解釈+それに対する評価=「観」

そして、これらの背景知識も知っているだけでは意味がありません。

これらの事実の間にある因果関係を解釈し、それを自分の価値観でもって評価できなければ、その知識(情報)に対して自分の意見は持てない(=小論文が書けない)のです。

たとえば今回の新聞記事も、米国(の存在ややり方)をプラスに評価する人は、「シリア内戦終結見えず」という文言を「もっともだ」と評価するでしょう。

一方、米国のやり方を快く思わない人は、「終結を遅らせているのは反体制側を援助している米国のせいではないか」と考え、「この見出しは間違っている」と批判するでしょう。(なぜ、私がそう判断するのかが分からなければ、ググってみてくださいね)

つまり、その人の「米国"観"」が、この記事内容に対する評価を生みだし、自分なりの「意見」を作り出しているのです。

このようにある一定量の知識とその知識間の因果関係に評価を下したもの(=「観」)が、新しく入ってくる知識(情報)に意味を与え、その情報に関する自分の意見を持たせてくれます。

言い換えれば、「観」をもっていないと、いくら個別の知識(や情報)を詰め込んでも、理解できないし、仮に覚えたとしても、すぐに忘れてしまうのです。

ですから、○○さんも、まず最初はそのテーマ領域の全体像がつかめる情報から体に入れましょう。

「観」を身につける方法と注意点

そういった意味で、○○さんは「まだ」新聞は読まない方がよいかもしれません。

すくなくとも隅から隅まで読んで記事内容を暗記しようとする必要はありません。

今の○○さんにお勧めなのは、知りたいテーマに関する入門書的な新書を読むことです。

「××入門」「よくわかる△△」「□□概論」etc...

最初は易しめで、その領域の全体像が分かる本を読みましょう。そうやってその領域のマトリックス(見取り図)を体にインストールするのです。

もうお分かりでしょうが、このマトリックスこそが、他でもないその本の著者のその領域における「観」です。

そうやって最初は著者の「観」を自分の中に取り込むことで、自分自身の「観」を創り上げる一歩を踏み出すのです。

その際、気をつけるべきことが一つあります。

それは、これら入門書は必ず「複数」読むことです。

著者の「観」にも出来不出来や、一定の「偏り」があります。

本を1冊しか読まず(=一つの「観」しか知らず)、それだけで入ってくる知識(情報)を評価しようとすると、とんでもなく偏った評価を下したり、過激な意見を持ってしまう危険性があるのです。

ですから、まずは何冊か本を買って複数の著者の「観」を比較しながら読み、そのテーマに関するバランスのとれた自分なりの「観」を得る努力をしましょう。

なにか困ったことがあれば、またいつでもメールください。

いっしょに頑張りましょう!


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